栄養学を学ぶと、生活がかわる

「栄養学を生活にいかす」―本学創立者の香川綾は、栄養学の実践にこだわり、誰でもどこでも栄養学を学べる社会を目指していました。その精神を受け継ぎ、25年前に「香川綾記念 講師派遣事業」をスタートさせました。派遣講師は、生涯学習講師の認定を受けた卒業生や、本学の教員です。

2023年度は、北は北海道から、南は鹿児島県まで、全国各地から講師派遣の依頼をいただき、実施件数は327件、受講者数は1万5千人(うち、高校生6千人)にのぼりました。高等学校をはじめ、自治体での住民対象の講演会や専門職種向けの研修会、教育関係や管理栄養士・栄養士の職能団体など、依頼先も広がっています。

高等学校では、なにをどれだけ食べたらよいのか「栄養学のはなし」、毎日の食事や栄養について学ぶ「高校生の食事」といった基本的なテーマ、スポーツ栄養や熱中症予防など部活動に役立つもの、さらに管理栄養士・栄養士の仕事紹介といった資格や職業に関することなど、多岐にわたっています。

受講した高校生たちには、食事が心や体にどんな影響を及ぼしているのか、栄養素のこと、食事の捉え方など新たな発見を得ながら、自分の食生活の問題点に気づき、改善しようと考え始める様子がみられます。自分の健康だけではなく、家族の健康にもつなげていこうとする姿もみられます。

2024年10月に埼玉県内の高校で保健講演会「食で変わる!心とからだ~今日の食事はあなたの未来を生きる力になる~」(派遣講師:本学恩田理恵教授)後の生徒の感想をご紹介します。

  • 先週までテストがあり、忙しくてついジャンクフードやコンビニ食に頼りがちですが、講師の方が「毎日の食事が体に与える影響は大きい」と強調していました。栄養バランスを考えることが、成長期の私たちにとってどれだけ大切かを知り、これからはもっと意識して食事を選ぼうと思いました。
  • 今回のお話を聞いて、食によってここまで自分の身体の変化に影響が出るのかと、初めて知ることも多く、とても勉強になりました。実際にどの時間帯にどの程度食べればいいのか、またそれはなぜなのか、ひとつひとつの話を徹底的にわかりやすいように解説してくださって、身近なところから気をつけられることがたくさんあるなと感じました。
  • 高校に入ると菓子の持ち込みがOKになって間食が増えてしまったので、糖質を取りすぎないように食べるものを考えたいです。また、食事バランスを知って一人暮らしなどになるとあまり栄養がとれなくて偏りそうなので覚えておいて役立てたいです。
  • ダイエットなどをしている時に主食を抜くときがあったけれど、きちんと主食を食べないと代謝や体温、血圧などが崩れてしまうことを知り、毎日バランスの良い食事を心がけたいと思いました。また、食べすぎてしまうのも体に良くないので、買う時や食べる時に栄養素を確認したり、塩分のとりすぎなどにも気を付けて、常に意識して生活していきたいです。
  • 健康な食事を心がけることがメンタルヘルスにつながることを知りました。受験期に大切な体と心の健康を保つためにも食生活を改善していきたいと思いました。ネットだけの知識で過度の食事制限をしないように気をつけたいと思いました。質の良い食事で心も体も健康でいれるようにしたいです‼
  • 自分の食生活を見直してみると足りていない栄養素が多くあることに気づくことができました。牛乳は高校生になってから全く飲まなくなってしまいましたが、Ca源として必要であることを知りました。今後、意識して摂取するようにしたいです。
  • 特に驚いたのは脂質についてです。脂質は肥満の原因になるものだと思っていたので、あまりとらない方がいいのではないかと考えていました。しかし、脂質が不足してしまうととても多くの悪影響があらわれてしまうということを知り、からだの調子を整えるためには、全ての栄養素をバランス良くとることの大切さを学びました。
  • 葉酸は、妊婦の方が摂る特殊な栄養素なのかなと思っていましたが、意外にも身近な野菜に入っているのだと驚きました。妊婦さんにももちろん、今の私たちにとっても重要な栄養素だということを初めて知りました。
  • 今回のお話を聞いて、栄養素について考え直すことができたので、家でご飯づくりに挑戦してみたいと思います。栄養バランスの整ったご飯で、家族が今まで以上に元気になってくれると考えると、とても楽しみです。
  • これから先大人になったときに、今よりももっと食生活を気をつけていかないと、とりすぎて肥満や生活習慣病になったり、不足して病気しやすい体になってしまうリスクが高まるので、しっかり動く習慣を今からつけていきたいです。
  • 今日習ったことを自分の身の周りにいる大人の人たちに伝えたり、私自身がごはんをつくったりし少しでも健康で長生きしてもらえるようにしたいなと思っています。
  • 今回の講演会を通して、私が一番印象に残ったことは「食事の面白さと多様性」です。「栄養バランスのよい食事にするには」ではなく「どうやったら楽しくおいしく効率的に栄養バランスのよい食事をしてもらえるか」という自分にとって新しい考え方が刺激的で勉強になりました。
  • 今日の講演をふまえて、今まで通り継続していくもの、新しくチャレンジしていくもの自分のためになる情報をたくさん知ることができました。よりよい生活習慣を身に付けるためにこれからも健康に気をつかっていきたいです。
  • 私は将来の夢が管理栄養士になることなので、今日の講演会は勉強になることがたくさんありました。栄養学の勉強をすることは、自分の健康を守るだけではなく、身近な家族などの健康の手助けもできるとても素敵な学問だなと思いました。
  • 講演会が始まる前は、家庭科や保健でやった内容とほぼ同じだろうと思っていましたが、どっちの教科でも習わないような詳細な内容で、すごくためになるお話でした。食事は一生とるものなので、今回の学習で学んだことをこれから先も意識して楽しく食事をしたいです。

これからも、この講師派遣事業を通して、栄養学と高校生の出会いを増やしていきたいと思います。

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